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京都大学 エネルギー理工学研究所附属カーボンネガティブ・エネルギー研究センター
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センター紹介

カーボンネガティブ・エネルギー研究センター概要

私たちの地球では、生物による炭素循環システムによって、二酸化炭素がいわば炭素通貨として利用されています。これまでは、この通貨である二酸化炭素の排出と吸収のバランスが保たれた状況を保ってきていましたが、産業革命後の急速な人類の活動により、二酸化炭素の排出と吸収のバランスが崩れて、排出過多になってしまっています。バランスが取れた状態、すなわちカーボンニュートラルな状態に戻すには、通常言われている「ゼロエミッション」技術だけでは、2050年のカーボンニュートラルは難しいと考えられ、より積極的な二酸化炭素固定化過程を導入して、新たなエネルギーシステムを作り上げることが必要です。附属カーボンネガティブ研究センター(Integrated Research Center for Carbon Negative Science (ICaNS)) は、積極的に大気中の二酸化炭素を固定化し、有効利用する技術の開発を目指す「カーボンネガティブ・エネルギー」研究を推進する目的のために、2022年度に本研究所に設置されました。本研究センターでは、現時点では比較的新しい概念の「カーボンネガティブ・エネルギー」について、京都大学工学研究科ならびにエネルギー科学研究科との連携のもとに、研究および人材育成に取り組みます。

カーボンネガティブ・エネルギー研究センターの活動

京都大学内においてカーボンネガティブ・エネルギーに関する横断的・機動的な研究を進めるプラットフォームとして、エネルギー理工学研究所とエネルギー科学研究科、工学研究科の2研究科との連携体制からスタートし、2022年に本センターを設置しました。2030年の温室効果ガス46% 削減をベンチマークに、本センター内に3つのプロジェクトを設定し、研究を進めています。
プロジェクト研究では、CO2原料の「波長選択・量子変換カーボンナノチューブ」開発、CO2と水を原料とした「常圧・低エネルギーダイヤモンド電解合成」、さらに極限微生物を利用して CO2から作る「グラフェンナノリボン半導体」や「高付加価値化成品」を開発します。これらの高度な異分野融合研究を推進・発展させ社会実装に繋げるためには、「カーボンネガティブの学術と社会実装を支える人材育成」が必要です。学内3部局・7専攻にまたがる教員がセンターに集結して多様な学術基盤を融合させつつ、最先端の研究設備を使用して研究教育を行います。これを足掛かりに、オール京大で今後もさらなる連携・新たな知見を導入し、「カーボンネガティブ」の新しい学術を進めます。
さらに、学外・国際連携を進め、2050年のカーボンニュートラル社会実現とその先を見据えた、社会イノベーションに資するカーボンネガティブ・エネルギー技術を創出しつつ、国際的なカーボンネガティブの視野を持つ人材育成に寄与します。このような学内の附置研究所と複数研究科の機動的連携体制による研究教育センターの形成は、共同利用・共同研究拠点基盤および大学の機能強化に直結するとともに、本センターでの CO2を有用資源として活用する研究により、本学がイニシアティブを持った新しいパラダイム「カーボンネガティブ」を先導します。また社会的波及効果として、耕作放棄地での太陽光発電と再造林放棄地の木質バイオマスを組み合わせた炭化・機能化事業など、カーボンネガティブと地方創成を同時に達成することが期待されます。これらにより、新しい学術コミュニティ形成とともにグローバルなエネルギー・環境課題解決に新たな道筋をつけ、2050年のカーボンニュートラル社会実現を目指します。